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2018.03.26
生物統計学コースのある米国の大学紹介ーその9(サウスカロライナ医科大学)

今後生物統計学を履修したいと考えている若い人たち向けの米国の生物統計学コースを有する大学の紹介の第九弾は、米国サウスカロライナ州チャールストンにあるサウスカロライナ医科大学です。

 

Division of Biostatistics and Epidemiology – Medical University of South Carolina

 

サウスカロライナ医科大学のロゴ

Logo

https://twitter.com/musc_news

 

1.サウスカロライナ州とチャールストンの位置

MAP

http://www.worldatlas.com/na/us/sc/where-is-charleston.html

 

2.サウスカロライナ州チャールストン市

 チャールストン市は、米国サウスカロライナ州の南東部に位置する州内最古の港湾都市で、サウスカロライナの海岸線の中点のすぐ南に位置しています。アシュレー川とクーパー川が合わさる河口にあり、海運のかなめとなって来たチャールストン港は中心街から少し離れた大西洋岸に位置しています。

 この街はイングランド王チャールズ2世の名に因み、チャールズタウン(Charlestown)として1670年にアシュレー川西岸に建設され、1680年に現在の場所(オイスター・ポイント)に移されました。現在の都市名チャールストン(Charleston)は1783年に採用されたものです。都市圏人口として約70万人のメトロポリタンの中核都市としても、17~18世紀の建物が街の至るところに残る歴史の息づく街としても、住みたい都市の上位にランクされる美しい街並みを形成しています。

  また、多くの学生がチャールストンは温暖な気候と近くの美しいビーチで暮らすための非常に魅力的な場所であることを見出し、魅力的な建築、偉大なレストラン、多くの博物館など、大学院生が自由な時間に楽しめるさまざまなアウトドアアクティビティを備えた歴史あるこの街のとりこになっています。

 

サウスカロライナ医科大学の風景 

Photo1

http://academicdepartments.musc.edu/musc/about/index.html  

 

サウスカロライナ医科大学周辺のチャールストンの街並み

Photo2

https://www.linkedin.com/company/musc-foundation-for-research-development

 

海運で栄えたチャールストン港

Harber

http://www.globaltrademag.com/global-trade-daily/news/charleston-harbor-deepening-project-recommended-for-congressional-authorization

 

3.サウスカロライナ医科大学

  1824年に設立されたサウスカロライナ医科大学(MUSC)は、教育、研究、患者ケアの卓越性の伝統を継承しています。MUSCは6つのカレッジに3,000人以上の学生と居住者を養成し、約1,500人の教員を含む約13,000人の雇用を抱えています。また、州の唯一の学術保健科学センターであり、チャールストンで最大の非連邦雇用者である大学とその関連会社は、年間経済効果が約40億ドル、年間研究資金が2億5,000万ドルを超え、年間で23億ドルを超える予算を持っています。MUSCは、全国的に認知されている小児病院、NCI指定のホリングス癌センター、レベルI外傷センター、精神医学研究所、州内の100以上のアウトリーチ場所、サウスカロライナ州の唯一の移植センター等を有する一大医療コングロマリットを形成しています。

 

4.生物統計学プログラム

  最近改組された公衆衛生科学部(DPHS:Department of Public Health Sciences)は、医学部と大学のエキサイティングな新しいステージの始まりを表しています。 以前は保健科学として、1968年以来生物統計学、バイオインフォマティクス、疫学学の分野から発展して来ました。研究者たちはバックグラウンド、訓練、研究の面で多様な構成です。 本学部は生物統計学的方法の開発に取り組んでいる研究者を有しており、臨床試験では癌、糖尿病、精神医学、神経科学、リウマチ学的疾患および感染症の研究を進めており、疫学では健康格差、コミュニティアウトリーチ、保健サービス等に力を入れています。大学院生およびポストドクターの研修生には、さまざまな背景とキャリアパスがあり、彼らは学術機関、連邦政府機関、および民間セクターなどに就職しています。 DPHSは教員や学生の知的で科学的な取り組みを促進し、強化するための、協調的かつ支援的な環境を提供しています。

 新しいカリキュラムは、DPHSのすべての学生が科学的に健全な研究を設計し、実施するために必要なスキルと知識を備えていることを確実にするための強力な定量的訓練を重視しています。すべての博士課程の学生は、施設奨学金、研修助成金、NIHおよび授業料と奨学金をカバーするその他の情報源からの研究助成金のいずれかによって支援されています。 卒業生は大部分ではないにしても、学術界で一定のレベルを持った就職先に席を確保して卒業しています(クリーブランドクリニック、アーカンソー州・ペンシルベニア州・メリーランド州らの政府機関、ラッシュメディカルセンターなど)、また連邦政府の機関(NIH、FDA、EPAなど)やノバルティスなどの民間セクターが含まれます。

 

  DPHSに設置された生物統計と疫学学科(Division of Biostatistics and Epidemiology:DBE)は、新規で創造的なアプローチや生物医学研究の解決策に絶えずチャンスと課題を提供する環境を作り出しています。 生態統計学(がん、中枢神経系の傷害、神経学的障害、自閉症、糖尿病、感染症など)を含む疫学(ベイズ法、臨床試験デザイン、欠損データ処理、生存分析、クラスタ化データ分析など)行動科学および社会科学は、学生たちが公衆衛生の分野で横断的な方法論的および応用研究を積極的に追求するための相乗的な環境を提供しています。

 

 生物統計学科の研究者達は、分類学的、縦断的、多変量、生存時間、再発事象、多発性転帰およびベイジアン生物統計学的方法を含む分野における専門知識を有しています。 また、彼らは様々な臨床試験や健康関連の研究を指揮し、関与しており、アプリケーションの生物学的および臨床的領域から入手可能な科学的知識を組み込むことにより、効率的で有益なデータ分析のための革新的な方法を開発しています。本大学の経験豊富な生物統計学のチームは、研究の設計、実現可能性と範囲、データ分析のための適切なツール、データ収集とアーカイブの正しい方法、報告と解釈に関する基礎科学者として、保健サービスや臨床研究者との共同研究者となっています。研究結果の関心分野および適用分野は、癌、パーキンソン病、心臓血管疾患、AIDS、老化およびアルツハイマー病、口腔衛生、神経学および精神的健康などの多様な臨床科目を含みます。

 

  Division of Biostatistics and Epidemiology(DBE)、MUSCキャンパス、サウスカロライナ州、米国および海外の他の部門、学科、大学、プログラム、ユニット、プロジェクト、さらに専門家と幅広く協力しています。  DBEの研究者は、研究を設計し、データを管理し、データ分析を行い、情報に基づく結論のためにデータ使用を最大化するために、科学者および医療専門家と並行して作業をします。 また、医学生、基礎科学博士号取得者、看護および健康管理学生、その他多くの異なる分野の学者だけでなく、PhDおよびMS学生ならびに広範な教育支援および機会を提供しています。

 

 生物統計学は、科学的知識を向上させるために生物学的データを収集、分析、解釈する科学です。 公衆衛生の領域では、生物統計学は生物医学データとその収集、分析、解釈に焦点を当てています。 本大学の公衆衛生学部の生物統計学部門(DBE)の任務は、熟練した生物統計学者を養成し、生物統計学的方法を実際に実施し、適切な使用法を進歩させるための新しい生物統計学的方法および理論を開発することであり、これらのプロセスから得られた知識を通じて人の健康を向上させることを目的とした医学研究コミュニティによる生物統計学的方法の研究に従事しています。

 

指導と大学院プログラム

  DPHSは、生物学、医学、歯学、薬学、看護、ヘルスケア、および環境科学に密接に関連した、分析および数学の科学分野における革新的な学際的なトレーニングを提供しています。他の学部とのコラボレーションは、学生が生物医学的および臨床的問題への分析方法論と理論の応用における経験と専門知識を身につけるための豊富な機会を提供します。 生物統計学における特に重視される分野は、カテゴリーデータ分析、臨床試験、縦方向データ分析、生存分析、および空間およびベイジアン統計です。 関心のある応用分野は様々であり、主な用途のいくつかは癌、歯科医学、神経学、精神医学、および放射線学の領域を含みます。DPHSは生物統計学の修士号と博士号を授与しています。

 

研究の機会

  公衆衛生科学部の生物統計学的研究は、いくつかの重要な分野に焦点を当てており、主な焦点は臨床試験、特に初期段階の試験およびランダム化戦略の設計および分析のための方法の開発です。 画像解析、疫学、公衆衛生サーベイランスなどのアプリケーションによる健康データの空間的/地理的パターニングの分析だけでなく、縦断的分析と欠落データの取り扱いにも重点が置かれています。多くの方法論研究は、MUSC内と他の大学との共同作業によって行われています。

 

  サウスカロライナ医科大学の公衆衛生科学部に所在するデータ調整ユニット(DCU)は、データの臨床試験と分析の設計、多施設のためのデータとプロジェクト管理システムの確立、実施、および維持を専門としています。 このユニットは、脳卒中、消化器疾患、糖尿病、外傷性脳損傷および精神医学を含む様々な治療領域における第I相から第III相試験の設計および実施に経験があります。 ユニットは臨床試験の設計、実施および分析における実務経験、および実際の試験アプリケーションを使用した論文作成作業の機会をDPHSの学生に提供します。 現在の研究テーマには、最適なランダム化手法、欠損データの処理、非劣性試験の分析、レスポンダー解析などがあります。

 

コラボレーションの機会

  学生が共同プロジェクトに取り組む機会が多くあり、MUSCの様々な学問分野の研究者と交流する機会があります。DBEはサウスカロライナ州の臨床および基礎研究から応用分野におよぶ研究センター(Translational Research Center)の生物統計学、疫学および研究デザインプログラムの本拠地であるため、これらの研究者は研究デザイン、標本サイズの正当性、分析計画などの問題について研究を深め、さらにDPHSのコラボレーティブユニット(大学の研究資源施設)は、助成金の獲得のためにMUSCの研究者同士を結び付けています。 これらのメカニズムを通じた研究者らの相互作用は、今日の生物医学研究者が直面している複雑な問題に対処するために不可欠な、チームサイエンスへの大きな発展を提供します。

 

共同研究

  DBEの研究ポートフォリオは多様で協力的であり、研究戦略計画はMUSC全体の研究計画に合致しています。 生物統計学、疫学、行動・社会科学の研究分野の多くは、神経科学、癌、糖尿病、リウマチ学、精神医学の分野に含まれています。研究における部門間および大学間のパートナーシップに加えて、強力な部門内、学際的な協力関係を築いています。

 

生物統計学研究

  生物統計学的方法開発の分野では、様々な分野に焦点が当てられています。一例を挙げますと、急性脳卒中治療試験や初期のがん試験などの革新的な臨床試験デザインや無作為割り付け戦略は、DBEとHollings Cancer CenterのBiostatistics Shared Resourcesによって共同開発されています。大規模な予測変数の選択に重点を置いた多変量解析と、ランダムフォレストを使用して選択を行う手法の開発は、ウルフ博士の研究の焦点です。 Gebregziabher博士の研究は、縦断的分析、特にそのような研究のデータ欠如の問題に関するものであり、中心的なテーマは情報欠損のモデリングであり、欠損メカニズムをモデル化して縦断的結果を得る研究です。神経イメージングとMRIの空間情報と画像の欠如に対処する方法も重要な研究分野です。疾病のマッピング、病気の群集化、疫学データの空間的な監視を含む小規模の健康データの空間分析は、Lawson博士の研究分野です。時空間データのベイジアン階層モデリング、特に潜在構造モデルの開発、また空間的に参照される生存データ解析のモデリングの拡張が中心的な研究分野です。さらにコラボレーティブユニットプロジェクトを通じてさまざまな共同プロジェクトに従事する研究者達は、これらの研究の多くから生じるさまざまな統計的問題を探究しています。

 

Hollings Cancer Center

Cancer Center

www.hollingscancercenter.org/index.html

 

 

疫学研究

  疫学の研究者は加齢、癌、心臓血管疾患、糖尿病、感染症、傷害/外傷、神経障害、口腔健康、タバコおよび他の物質の使用、および周産期を含む幅広い健康成果に適用されるモニタリングおよび病因学的研究に従事しています。この研究の多くに共通するクロスカッティングのテーマは、健康格差に焦点を当てています。この新規で独立した研究の目標は、臨床的ケアを改善し、人々の健康を向上させることであり、広範な地方、州、国の公衆衛生管理および疾病管理活動に関与して、知識を公衆衛生の実践に積極的に活用しています。MUSCキャンパス内の基礎、臨床、および人口科学者との共同研究を通じて、また生物医学研究および公衆衛生の最前線を押し進める研究を超えて、疫学の研究者は独自の研究者主導の研究を実施するだけでなく、健康科学全般に注力しています。

 

5.【参考】修士課程と博士課程の履修プログラムを下記に紹介します。

 

修士課程履修プログラム

1.DPHS Common Departmental Core – 22sh (sh = semester hours)

①Introduction to Clinical Biostatistics – Methods I (BMTRY 700) (4sh)

②Biostatistics Methods II (BMTRY 701) (4sh)

③Theoretical Foundations of Statistics I (BMTRY 706) (3sh)

④Theoretical Foundations of Statistics II (BMTRY 707) (3sh)

⑤Foundations of Epidemiology I (BMTRY 736) (3sh)

⑥Foundations of Epidemiology II (BMTRY 747) (3sh)

⑦Public Health Seminar (BMTRY 776) (2sh total – 1sh each fall and spring)

 

2.Additional Courses Required for MS – 5sh

①Biostatistics Methods III (BMTRY 784) (3sh)

②Principles, Practices, and Professionalism (CGS 770) (2sh)

 

3.Elective courses for Biostatistics MS degree. Students are required to take at least one Category A elective.

3-1. Category A Electives

①Biostatistics Methods IV (BMTRY 702) (4sh)

②Analysis of Categorical Data (BMTRY 711) (3sh)

③Linear Models in Biology & Medicine (BMTRY 714) (3sh)

④Bayesian Biostatistics (BMTRY 719) (3sh)

⑤Analysis of Survival Data (BMTRY 722) (3sh)

⑥Multivariate Methods in Biology & Medicine (BMTRY 726) (3sh)

⑦Longitudinal Data Analysis (BMTRY 761) (3sh)

⑧Advanced Inference (BMTRY 779) (4sh)

 

3-2.Category B Electives

①Statistical Methods for Clinical Trials (BMTRY 717) (2sh)

②Design and Conduct of Clinical Trials (BMTRY 724) (3sh)

③Foundations of Epidemiology III (BMTRY 748) (3sh)

④Spatial Epidemiology (BMTRY 763) (3sh)

⑤Methods in Clinical Cancer Research (BMTRY 781) (3sh)

⑥Statistical Methods for Bioinformatics (BMTRY 783) (2sh)

⑦Computational Methods in Statistics (BMTRY 789-23) (3sh)

 

 

博士課程履修プログラム

1.DPHS Common Departmental Core – 22 sh (sh = semester hours)

①Introduction to Clinical Biostatistics – Methods I (BMTRY 700) (4sh)

②Biostatistics Methods II (BMTRY 701) (4sh)

③Theoretical Foundations of Statistics I (BMTRY 706) (3sh)

④Theoretical Foundations of Statistics II (BMTRY 707) (3sh)

⑤Foundations of Epidemiology I (BMTRY 736) (3sh)

⑥Foundations of Epidemiology II (BMTRY 747) (3sh)

⑦Public Health Seminar (BMTRY 776) (2sh total – 1sh each fall and spring)

 

2.Additional Courses Required for PhD – 21sh

①Biostatistics Methods IV (BMTRY 702) (3sh)

②Analysis of Categorical Data (BMTRY 711) (3sh)

③Linear Models in Biology & Medicine (BMTRY 714) (3sh)

④Bayesian Biostatistics (BMTRY 719) (3sh)

⑤Analysis of Survival Data (BMTRY 722) (3sh)

⑥Advanced Inference (BMTRY 779) (4sh)

⑦Principles, Practices, and Professionalism (CGS 770) (2sh)

 

3.Elective courses for Biostatistics PhD degree.

①Statistical Methods for Clinical Trials (BMTRY 717) (2sh)

②Design and Conduct of Clinical Trials (BMTRY 724) (3sh)

③Multivariate Methods in Biology & Medicine (BMTRY 726) (2sh)

④Foundations of Epidemiology III (BMTRY 748) (3sh)

⑤Spatial Epidemiology (BMTRY 763) (3sh)

⑥Longitudinal Data Analysis (BMTRY761) (3sh)

⑦Methods in Clinical Cancer Research (BMTRY 781) (3ch)

⑧Statistical Methods for Bioinformatics (BMTRY 783) (2sh)

⑨Computational Methods in Statistics (BMTRY 789-23) (3sh)

 

4.Additional DPHS Courses: Other departmental courses may be taken for elective credit only with prior approval from the Program of Study Advisor or Research

Advisory Committee (if the latter has been formed).

 

5.Non-DPHS Courses: Students are allowed a maximum of six elective credit hours from no more than two courses outside of DPHS.