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2017.08.06
生物統計学コースのある米国の大学紹介ーその7(ミネソタ大学)

今後生物統計学を履修したいと考えている若い人たち向けの米国の生物統計学コースを有する大学の紹介の第七弾は、米国ミネソタ州ミネアポリスにあるミネソタ大学ツインシティ校です。

 The Division of Biostatistics, School of Public Health, University of Minnesota

ミネソタ大学のロゴ

University_of_Minnesota_wordmark

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:University_of_Minnesota_wordmark.png

 

1.ミネソタ州とミネアポリス市の位置

21539-minneapolis-locator-map

http://www.worldatlas.com/na/us/mn/where-is-minneapolis.html

 

2.ミネソタ州ミネアポリス市

  ミネソタ大学ツインシティ校の位置するミネアポリス市はミシシッピ川の支流のミネソタ川を挟んで隣接する州都のセントポール市と合わせてツインシティズと呼ばれ、周辺人口320万人を抱える米国で第16番目の規模を誇る大都市です。また、このツインシティズを形成するミネアポリスとセントポールは、米国中西部ではシカゴに次いで2番目に大きな経済圏を形成しています。このミネソタ州を源流とするミシシッピ川は、延々とアメリカ大陸を縦断し、はるかニューオーリンズでメキシコ湾に流れ込みます。

UR_PL_920

https://give.umn.edu/about/umfia

  ミネアポリスは成田空港からデルタ航空の直行便が出ており、非常に便利な都市となっています。昨年8月にこのデルタ航空でミネアポリス入りをした時は、夕方の4時ごろ成田を出発し、現地時間の午後1時半ごろ到着するという時間的にも申し分のないスケジュールで運行されていました。空から見た夏のミネアポリスは緑が豊かで、美しい湖が点在するミネソタの大地のすばらしさを堪能させてくれます。

Minneapolis-skyline

http://www.nationsonline.org/oneworld/map/google_map_Minneapolis.htm

   ミネアポリスの気候は、中西部でも北方にあたるアッパー・ミッドウェストと呼ばれる地域における典型的な気候です。空気は乾燥しており、寒い冬と温暖で時折蒸し暑くなる夏が特徴的で、また気温の年較差が大きいという内陸性を持っています。冬は最高気温でも摂氏0度に満たない寒い日が続き、夜は氷点下20度以下まで下がることも少なくありません。北米の都市圏では、モントリオール、オタワ、エドモントン、カルガリー、ウィニペグなどと共に非常に寒冷な気候の都市であるとされていますが、夏は気温がかなり上がり、日中には摂氏28度に達する日もあります。降水は雪、みぞれ、氷、雨、雷雨、霧などさまざまな形を取りますが、年間降水量は780mm程度で、月間降水量で見ると夏季は冬季の約5倍で、11月から3月にかけては月間20cm程度の降雪があるようです。ミネアポリスで観測された史上最高気温は摂氏42.2度(1936年7月)、史上最低気温は氷点下40.6度(1888年1月)と記録されており、最も降雪量が多かったのは1983年から1984年にかけての冬で、降雪量250cmを記録したとのことです。ミネアポリス・セントポール都市圏の平均気温は摂氏7度ほどで、アメリカ合衆国本土の主要都市圏の中では最も低い気温となっています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Minneapolis

 

3.ミネソタ大学

  ミネソタ大学ツインシティー校は、アメリカ合衆国ミネソタ州最大の都市ミネアポリスと同州の州都セントポールにまたがって本部を置く、同国最大の研究機関型州立総合大学の一つです。ミネアポリスとセントポールのキャンパスは約4.8km離れており、セントポールキャンパスは実際に近隣のファルコンハイツにあります。ここはミネソタ大学のシステム内で最も古く最大規模のキャンパスで、米国内で6番目に大きなメインキャンパスとして、2013-14年には51,147人の学生がいるそうです。ミネソタ大学ツインシティー校は、ミネソタ大学のシステムの旗艦機関であり、Crookston、Duluth、Morris、Rochesterの姉妹キャンパスを持つ19の大学と学校で編成されています。

UniversityofMinnesota

http://greenbillion.org/participant/university-of-Minnesota/

  ミネソタ大学は1851年に設立された米国の公立アイビー大学の一つであり、アイビーリーグに匹敵する大学の経験を提供することができる米国のトップ公立大学でもあります。カーネギー高等教育機関分類で最も高い研究活動を行っているR1の博士課程を有する大学として分類されており、米国大学協会のメンバーとして、2015年6月30日に終了する会計年度において、研究活動は全米14位にランクされ、研究開発費は8億8800万ドルに達します。

https://en.wikipedia.org/wiki/University_of_Minnesota

 

4.ミネソタ大学公衆衛生学部生物統計学部門

   生物統計学部門は、生物医学研究のための統計的手法の開発に焦点を当てており、HIV /エイズ、心臓および肺の疾患、癌、神経画像、および他の多くの臨床分野を含むプロジェクトについて、大学の研究パートナーと協力しています。

   ベイジアン分析、空間統計、統計遺伝学、因果推論などの方法論的研究を実施することにより、教員、学生、スタッフたちは、100以上の助成金付研究と1億5,000万ドル以上に及ぶ契約を結んでいます。

   入学を希望する人が生物統計学が専攻でなく、どのクラスを最初に取るべきか分からない場合、生物統計学コースの入門ガイドが用意されています。

   多くの連携している健康科学の部門は、いくつかの生物統計学コースまたはその系列の履修を必要としており、必要な科目をより大きな番号の生物統計学の科目に置き換えることが可能です。あるいは、生物統計学は必須ではなくてもこれらを学ぶことに興味があれば、公衆衛生学部の生物統計学部門では、1学期または2学期で履修できる下記の3つのコースを提供しています。

– PubH 6414 Biostatistical Literacy OR

– PubH 6450/6451 Biostatistics I and Biostatistics II OR

– PubH 7401/7402 Fundamentals of Biostatistical Inference and Biostatistics Modeling and Methods

 

上記の3つの選択肢はいずれも統計理論の骨格となる重要な要素、例えば基本的な分布、記述統計とグラフ、平均と比率の仮説検定と信頼区間、線形回帰、分散分析、検出力と標本サイズ、ロジスティック回帰、 Kaplan-Meier推定、Time-to-Eventモデルなどが含まれています。

 

  生物統計学技能コース(6414)は、特定の科学分野の主要文献の統計結果を読み、解釈する能力を育成することを第一の目標としています。 このコースは、必要最小限の計算は履修しますが、統計プログラミングソフトウェアの正式なトレーニングは提供しません。実際の計算やコンピュータプログラミングではなく、生データから結果を得るために、特定のメソッドを使用するタイミングと結果の解釈方法に重点を置いています。

  他の2つのコース(6450/6451および7401/7402)は、機体される数学的背景、すなわち学生が習得することが期待される基礎的な統計的基礎のレベル、統計的方法がカバーする難度、統計ソフトウェアの使用、および単位を取得できる時間が異なっています。

 

  また、SASプログラミングに関する下記2つのコースも提供しています。

(1)PubH 6420はクラス授業とオンラインで1単位ですが、データの読み取りと処理のためのSASプログラム、記述統計と基本統計分析を扱います。履修のための前提条件はありません。

(2)PubH 6470 はクラス授業のみで3単位ですが、SASプログラミング、グラフィックス、データ解析(一般線型モデル、ロジスティック回帰、反復データの混合効果モデル、および生存時間解析を含む)を履修します。少なくとも6450/6451を履修済みの学生を対象としています。

  両方のコースについて、統計的方法の説明に費やす時間はほとんどありませんので、学生はあらかじめ学習しておく必要があります。

 

  生物統計学の修士号と博士課程の両方のプログラムの学生は、影響の大きい国内外の研究プロジェクトを支援し、生物統計学部門の履修コースの提供をサポートし、また独自の研究を実施しています。 本学の学生は、教員のアドバイザーと緊密に協力します。主導的な生物統計学プログラムの中で最も低いものの1つが学生対教員比率で、学生は潜在能力を最大限に引き出すために必要な訓練と個人的な指導を得ることができます。

  学生は、学術活動と社会活動の両方を積極的に行っています。 学生セミナーシリーズでは、進行中の作業の発表と議論、今後の会議のプレゼンテーションの練習、新しいコンピューティング技術の習得の機会を提供します。 学生セミナーは通常教員の口出しは行われません。

  生物統計学者は、多くの研究チームの重要なメンバーです。また、さまざまな科学分野の研究者と緊密なパートナーシップをとり、複雑なデータから意味を抽出するための統計ツールを開発します。

  生物統計学における公衆衛生修士号を取得すると、研究を設計し、データを分析し、公衆衛生の文脈の中で結果を意味づけることによって、公衆衛生問題に定量的な専門知識をもたらす準備ができます。生物統計学博士号取得者は、独自の研究を行うとともに、生物医学研究者と協力して議論して多くの研究の実施と普及を行い、さらにはこの分野に関する他者の教育及び指導を行います。

 

  なぜミネソタ大学なのか?

  • 質:本学のプログラムは、最近米国における約40の生物統計プログラムのうち、#5-7にランクされています。
  • 影響:生物統計学の部門は、エボラに対する最初のワクチン試験や歴史上の最大のHIV /エイズ治療試験など、国内外の多くの臨床試験でリーダーシップを発揮しています。
  • 幅:学際的な研究には、ミネソタ大学医学部、獣医学部、カールソン・スクール・マネジメント、ハンフリー・パブリック・アソシエーション、スーパーコンピューティング・インスティテュート、およびミネソタ人口センターとのコラボレーションが含まれます。
  • 個人的利益:修士課程の学生と教員の比率は約1:1です。すべての学生は、計画プロジェクトおよび論文を完成させ、研究プロジェクトの教員アドバイザーと3ヶ月から6ヶ月間緊密なパートナーシップをとります。
  • 就職先:卒業生は、さまざまな学術機関、政府および非政府組織、医療保険プロバイダー、製薬および医療機器企業、および技術ベンチャーの研究およびコンサルティングの職に就いています。

 

  参考のため、博士課程で要求されるプログラムを下記に示しておきます。

  博士号プログラムは、7つのコア科目と3つの選択科目、予備筆記試験、予備口頭試験、論文の書き方、および最終口頭試験での論文の発表を必要とします。

  7つのコア科目は以下の通りです。

– PubH 8401 (Linear Models)

– PubH 8403 (Biostat Research Mentoring)

– PubH 8412 (Advanced Statistical Inference)

– PubH 8432 (Probability Models)

– PubH 8442 (Bayesian Decision Theory)

– STAT 8101-8102 (Theory of Statistics I and II)

 

  次の中から選択するBiostatistics選択科目の9単位:

– PubH 7420 (Clinical Trials)

– PubH 7465 (Biostat Consulting)

– PubH 8422 (Modern Nonparametrics)

– PubH 8435 (Latent Variable Models)

– PubH 8445 (Statistics for Human Genetics)

– PubH 8446 (Advanced Statistical Genetics and Genomics)

– PubH 8452 (Advanced Longitudinal Data Analysis)

– PubH 8462 (Advanced Survival Analysis)

– PubH 8472 (Spatial Biostatistics)

– PubH 8475 (Statistical Learning and Data Mining)

– PubH 8482 (Sequential and Adaptive Methods for Clinical Trials)

– PubH 8492 (Hierarchical and Richly Parametrized Linear Models)

– Other 8000 level biostatistics topics courses that is not included in the Core Curriculum

– 8000 level course offered by the School of Statistics that is not included in the Core Curriculum

 

  また、PubH 6000、7000、8000から選択された健康科学選択科目、及び公衆衛生学部または他の学術保健センタープログラムの他の部門によって提供されるレベル相当科目の3単位が必要です。健康科学の選択科目は、リサーチアドバイザーまたは論文のアドバイザーと相談して選択することをお勧めします。PubHまたはAcademic Health Centre以外のコースを利用するには、コースに登録する前に、アドバイザーと大学院学部長の承認を得る必要があります。

 

  留学生など英語のネイティブスピーカーではない学生は、英会話能力の熟練度を示す必要があります。最初の学期中にこれを完了することが最善です。その内容は、すべての生物統計学の学生はELP評価(English Language Proficiency Rating)で1、2、または3に相当する熟練度を取得しなければなりません。熟練度は以下のいずれかの方法で評価されます。

– 教育イノベーションセンターとの授業を通して得られた英語能力(ELP)評価

– ibTOEFL (internet-based Test of English as a Foreign Language)の会話能力得点

– SETTA((Spoken English Test for Teaching Assistants)の得点